一眼レフカメラがマニュアル・フォーカスだった時代、ミノルタのカメラを使っていた。軟らかい発色のロッ
コールのレンズ(MDマウントのレンズ)が好きなので、旧式のボディも手放せずにいる。一時期、マウントアダプタ経由でこ
のレンズを有効活用できないだろうかとマウントアダプタを探していたのだが、オリンパスのE-1専用のマウントアダプタしか
見つからなかった。
無い理由は、MDマウントはEOSのEFマウントよりもフランジバックが短かいので物理的に無理だということが判った。
ところが先日、オークションを眺めているとMDレンズをEOSボディに装着できる(MD-EF)マウントアダプタが出品されていた。
早速、落札し使ってみたので感想を書いてみることにした。
まず判ったのは、このアダプタは中国製で日本のメーカーは取り扱っていないため、個人的に中国から取り寄せて、オーク
ションで販売していると推測できる。事実として、私が落札した品の出品者は中国系の名前の人物だった。
ではなぜ、中国ではこのようなマウントアダプタが生産されているか。中国のカメラメーカーであるSEAGULは、ミノルタから
技術供与を受けてMDマウントの一眼レフカメラを生産している。ここからは推測だが、この状況から考えて中国国内において
はMDマウントのカメラが比較的多く普及しており、まだデジタル一眼を作っていない中国では日本などから輸入した別マウン
トのデジタル一眼にMDレンズを付けたいという需要があるのではないかと考えられる。
さて、前述したようにMDレンズのほうがEFレンズよりフランジバックが短いのになぜ、マウントアダプタが作れたのか。写真
で判るようにアダプタ側にレンズが装着されていて、どうやらこのレンズがフランジバックの短さを補って幕面でピントが合う
ように調整しているらしい。ただしこの方法だと、通常の焦点距離通りにはマウントできなくて、多分1.3倍程度は焦点距離が
伸びるはずだ。つまり、このマウントアダプタを所有しているEOS 20Dに装着すると、CMOSの大きさから焦点距離は35mmフィル
ムサイズの1.6倍でさらにその1.3倍ということになると約2倍の焦点距離となる。つまり、50mmレンズは100mmとして利用可能だ
ということだ。本来、50mmは50mmとして使いたいところだが、これはフォーサーズ系のカメラを買うまでは無理なので、このマ
ウントアダプタは現時点での最適解として受容せざるをえない。
ところが、問題はそれだけに留まらなかった。所有しているレンズの実に半数以上の数のレンズがそのままではこのマウントア
ダプタでは使えないことが判明した。調べてみると、原因は二種類あった。一つは極めて単純で、MDレンズ側の絞り連動ピンが
マウントアダプタに抵触してピンが動かないという問題だった。これはヤスリでピンの頭を0.2mm程度削ることで問題は解消で
きる。もう一つの原因は、レンズの後玉がマウント基部より出っぱっているため、マウントアダプタが装着できないというものだ。
これに関しては補正レンズ付のマウントアダプタは装着不可となるのはやむをえないため、装着を断念せざるをえない。
幸いなことに現在のところ、これが原因でマウントできないことが発覚しているレンズは、MC W.ROKKOR 35mm f2.8のみである。
レンズの設計的に後玉が出っぱることが多いのは広角系のレンズなので、広角系の明るいレンズが装着できない可能性が高いと
考えられる。
最後に撮影してみた感想だが、デジタル一眼の解像力でも十分に個々のレンズの特性を引き出すことは可能だと再認識できた。
今回はタムロンのSP90mm Macro(72E)とミノルタのMC MACRO ROKKOR-QF 50mmでの比較結果は、タムロンが深みのある落ち着いた
色彩であるのに対し、ミノルタは少しアンバーがかって軟調であっさりとした描写となった。使用感としては、マニュアルフォ
ーカスのレンズをEOS20Dのようなオートフォーカスが前提のようなファインダーでピント合わせを行なうのは非常に苦労を伴う
作業だった。今後の課題として、ファインダー・スクリーンの改善を望む。
左がタムロンSP90mmMacroで、右がミノルタMC Macro 50mm。